1 自分の生存中から死亡後まで、自由で柔軟な人生設計ができる。
信託では、自分の生存中から、死亡時、そして死亡後まで、自分の財産の管理
や承継について決めておくことができます。
その内容は契約などで、かなり自由に柔軟な設定ができます。
2 通常の遺言ではできないことが可能になる。
通常の遺言では、自分の死後に発生した次の相続について、財産を承継する
者を指定することはできません。
信託では、契約などで定めれば、自分の死後、受益権を承継した者が、死亡した
とき、 次に受益権を承継する者を指定でき、自分の死後、信託が終了したとき
に財産を取得する者を指定できます。
また、信託は遺言の代わりを果たすこともできます。
3 倒産隔離機能がある。
信託には、将来、自分や受託者が信託財産に関係のないことで、多額の債務を
負ったとしても、信託財産は差し押さえられないという倒産隔離機能があります。
したがって、将来の万が一に対する備えになります。
4 成年後見制度を補うことができる。
成年後見人は、本人の判断能力が衰える前には、財産の管理はできません。
信託ならば、判断能力があるうちから、自分の希望する人に財産管理を任せる
ことができます。
もちろん、本人の判断能力が衰えた後も、受託者が財産管理を行うことができます。
成年後見人が管理する財産で、原則として贈与したり投資したりすることはできま
せん。しかし、信託を活用することで、あらかじめ贈与したり投資したりするため
の財産を信託しておけば、本人の判断能力が衰えた後も、その財産で贈与や投資を
することができることになります。
信託は、もちろん万能のものではなく、メリットのほか、デメリット、注意点が
あります。しかし、信託を検討することで、選択肢が一つ増えることは間違いありま
せん。信託は、それぞれの事情にあてはめた結果、最適な財産管理そして承継の方法
となる可能性を持っています。
司法書士行政書士福満賢一