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自筆証書遺言に関する改正について

2019/02/23

1 自筆証書遺言の方式緩和について
これまで自筆証書遺言は、添付する財産目録も含め、全文を自書して作成する
必要がありました。
高齢者の方にとって、全文を自書するのはかなりの労力ですし、加除訂正にも
厳格な方式がとられていることから、その方式違反で、遺言者の最終意思が
遺言に反映されないおそれもありました。
特定の財産を特定の人に与える遺言の場合は、財産を特定できる項目を記載する
必要があります。例えば、預貯金であれば、金融機関名や口座番号、不動産で
あれば登記事項(所在地、地番、地目、地積、種類、構造、床面積など)を記載
しなければなりませんでした。
その負担を軽減するため、遺言書に添付する相続財産の目録については、パソコン
で作成した目録や通帳のコピーなど、自書によらない書面を添付することによって、
自筆証書遺言を作成することができるようになります。
但し、財産目録のすべてのページに遺言者の署名及び押印が必要になります。
平成31年1月13日から施行されています。

2 自筆証書遺言の法務局保管について
自筆証書による遺言書は、自宅の仏壇や金庫などで保管されることが多く、せっかく
作成しても紛失することがあります。また、遺言によって不利益を被る相続人が、
遺言書を捨ててしまったり、書き換えてしまったりする恐れがあるなどの問題があり
ました。
そこで、こうした問題によって、相続をめぐる紛争が生じることを防止し、自筆証書
遺言をより利用しやすくするため、法務局で自筆証書による遺言書を保管する制度が
創設されます。
保管の対象は、自筆証書遺言のみです。申請先は、遺言者の住所地若しくは本籍地又は
遺言者が所有する不動産の所在地を管轄する法務大臣の指定する法務局の遺言書保管官
に対してすることになります。
法務局における遺言書の保管等に関する法律の施行は、平成32年7月10日です。
手続きの流れは、次の通りです。
1.遺言者(代理不可)が、遺言者の住所地・本籍地または遺言者の所有する不動産の
所在地を管轄する法務局に、法務省令で定める様式で作成した無封の遺言書を持参して
申請します。
2.法務局で本人確認と形式審査を行い、問題なければ、遺言書を保管します。
3.相続開始 4.相続人や受遺者(遺言によって遺産を与えられる人)等の相続関係人
が法務局に、遺言書情報証明書の交付や、遺言書の閲覧を請求可能です。
5.遺言書が保管されていれば、法務局は、請求に応じ、他の相続人や受遺者等に、
遺言書を保管していることを通知します。
6.遺言書の検認手続は不要で、すぐ相続手続可能です。

司法書士 行政書士 福満賢一

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