事務所通信
特別受益制度って何ですか?
2018/03/08
特別受益とは、亡くなった方から受けた贈与等のことです。
共同相続人中に、亡くなった方から特別の利益を受けていた者(特別受益者と言います)
がいるとします。
この場合、相続人間で、相続財産を単純に法定相続分どおりに分けると、
特別受益者は、二重に利得するので、不公平が生じます。
これを是正するのが、特別受益の制度です。
現実の相続財産に、その贈与の価額を加えます。
このことを特別受益の持戻しと言います。
これを相続財産とみなして、それぞれの配分を決めるのです。
特別受益に該当するものは、 亡くなった方から受けた次の贈与です。
1.遺贈
2.婚姻・養子縁組のための贈与(例 支度金や結納金)
3.生計の資本として受けた贈与(例 住宅購入資金の援助)
この特別受益については、贈与の時期に関わりなく対象となります。
特別受益者の相続額は次のように計算します。
特別受益者の相続額=(相続開始時の財産価格+贈与の価格)×相続分-遺贈または贈与の価格
具体例
Aが亡くなり、妻B、長男C、二男Dが相続します。遺産は5000万円。Bは、500万の
遺贈を受けており、Cは、住宅資金として1000万円の贈与を受けているとします。
この場合、BCDの具体的な相続額は、どうなるでしょうか?
妻Bについて、(5000 + 1000)×1/2 -500=2500万円(ほか、遺贈500万円)
長男Cについて、(5000 + 1000)×1/2×1/2-1000 = 500万円
二男Dについて、(5000 + 1000)×1/2×1/2=1500万円
なお、被相続人は、遺言で、このような特別受益の持戻しをしないという意思表示をすれば、
その意思表示によることになります。これを特別受益の持戻しの免除と言います。
司法書士・行政書士 福満賢一